今日の消費者の情報探索行動は、従来とは異なり、マーケターが予想もつかないような不規則な動きをしています。
例えば、調べだしたことを突然調べなくなったり全く別のキーワードで検索をしたり、期間を空けて思い出したようにまた調べだしたり、、、。皆さんもそのような経験があるのではないでしょうか。
このような情報探索行動に人々を掻き立てる理由として、8つの潜在的な動機があるとGoogleは提唱しています。
この記事では、バタフライサーキットについて詳しく紹介するとともに、新しい情報探索行動とレビューの関係についてご説明します。
バタフライサーキットとは?情報探索を掻き立てる8つの動機

情報探索行動を掻き立てる8つの潜在的な動機は、「さぐる」「かためる」の2種類にわけられます。
「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんなの教えて」「ニンマリさせて」の 4つは、人々が選択肢を探ろうとしているモードで、「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」の 4つは、選択肢を固めようとしているモードと言えます。
「さぐる」検索と「かためる」検索は、まず「さぐった」うえで「かためる」という一方方向だけではありません。
選択肢を固めてきているにもかかわらず、新たな選択肢を広げようとしたり、なんとなく検索して見つけた商品を突然ためらいもなく購入するなど、「さぐる」「かためる」を行ったり来たり繰り返す情報探索行動を私たちは日常的に取っています。

このような、情報探索行動がぐるぐるとサーキット状に広がり蝶(バタフライ)のように見えることからGoogleは、「バタフライサーキット」と名付けました。
バタフライサーキットとレビューの関係
情報探索行動の8つの動機のうち、「みんなの教えて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」には、世間や周りの人が商品・サービスに対してどのようなことを感じ、どういう体験をしたのかについて知りたいという気持ちがあります。
それを知ることで不安が解消され、自分の得た情報に自信をもったり妥協点を見つけることができるため、この瞬間にパルス消費※が起こる可能性が高まります。
これらの情報探索の動機がある人には、VOC(=顧客の声)であるユーザーレビューが重要な役割をもちます。
※パルス消費について詳しくはこちら(外部サイト)

■みんなの教えて
企業が発信する情報からは、製品開発の裏側やスタッフの意見を知ることができますが、レビューを参考にすることによって、企業側が提示する情報以外に、購入者がなぜその商品・サービスを選んだのか、その商品・サービスを選んで生活がどのように変わったのかという、よりリアルで詳細な情報を知ることができます。
■心づもりさせて
購入者が商品・サービスにネガティブな印象をもつ部分は人それぞれですが、特に自分が気になるであろう商品・サービスの仕様について事前にネガティブなレビューを確認しておくことで、期待値を下げておくことができ、購入後にがっかりすることを避けることができます。
■答え合わせさせて
気になっている、または良いと思っている商品・サービスが世の中でどんな評判なのか、実際に購入・体験した人はどうだったのかを確認することができます。
他にも、店舗での接客時に店員と仲良くなり、その場の流れで思い切って購入してしまったような商品・サービスについて、自分の選択が間違っていなかったことを確認する際にもレビューは有効です。
検索動機によって情報探索の方法は様々ですが、上記のようにレビューは一部の検索動機に貢献するツールであり、バタフライサーキットの中でレビューがパルス消費を起こす一つの要因になる可能性があることがわかります。
バタフライサーキット5つのパターン
Googleによる各業種商品購入者に対して実施したインタビューと検索データ分析およびアンケート調査の結果から見えた、バタフライ・サーキットの 5つのパターンを紹介します。
これらのパターンは同じ人でも、買い物の種類や状況によって異なるパターンのバタフライ・サーキットを起こします。

各業種別に見る5つのパターンの割合
これらの5つのパターンは、Googleが調査した各業種(車、不動産、スキンケア、旅行、生命保険)に下記のような割合で存在します。
※このグラフにおける「旧来型」とは、バタフライサーキットを起こさない、情報探索の目的が「知らないことを知る」というところにほぼ限定される人たちを示します。

5つの業種のうち注目したいのがスキンケア市場です。
スキンケアの情報探索を行うユーザーは全方位型が多いのが特徴です。
これは、スキンケアについて調べることが趣味になっている人がいるということが想像できます。
また、オンラインtoオフラインの慎重型よりもオフラインtoオンラインの真面目型が多い結果に。
これは、デパートのコスメ売り場からEコマースへのシフトを意味していると考えられます。
逆に、主観型が見られないのも大きなポイントです。
スキンケアや化粧品関連のアイテムは、「みんなの教えて」や「にんまりさせて」の情報探索が必須であるからかもしれません。
実際に投稿された口コミでは、使用感や付け心地、使用するシーンなどの感想がありとてもわかりやすく、また投稿者の年代や肌質など、購入者と近い属性の意見も確認することができるため、より納得した後で購入することが可能です。


業種によってバタフライサーキットのパターンはさまざまですが、スキンケア市場のような全方位型や真面目型の割合が多いパターンの場合は、世間や周りの人が選んでいる商品・サービスを知り、その評価がどうであるかを把握したいという動機があるため、同様の動機を持つ消費者をターゲットにするECサイトにはレビューなどのUGCは必要不可欠なコンテンツではないでしょうか。
消費者自身も気づいていない「実はだいじ」
ここまで、バタフライサーキットについてご説明しましたが、そもそもバタフライサーキットはいつ始まっているのでしょうか?
私たちは毎日膨大な量の情報を目にします。
その中から無意識に自分が必要だと思う情報を選択してそれに注意を向けています。
そのため、人は何かしらのモチベーションで情報を探索すれば、バタフライ・サーキットがオンになっているのです。
バタフライ・サーキットがオンになっている状態は、本人も自覚がない段階からはじまっています。
時にバタフライ・サーキット上での発見に運命のようなものを感じることがありますが、それはもともと本人の中にこうであればいいなぁという、おぼろげな願いがあるからです。
消費者の中には、自分のもっているおぼろげな望みや願いがあり、バタフライサーキットをしながらその願いのイメージを探しているのです。
それが、バタフライサーキットという情報探索行動を観察した中でGoogleが発見した「実はだいじ」です。
「実はだいじ」を見つけるレビューの可能性
今後のマーケティングにおいては、この消費者がもっているおぼろげな願いをいかにブランドと関連付けるかが非常に大事です。
消費者が商品やサービスを手に入れるにあたって、本人でさえ気づいていない「実はだいじ」なことを汲み取り、それに寄り添おうとすることが大切です。
そのためには、消費者を共通属性の集団として捉えた企業発信のマーケティングではなく、個々の属性を分析し、消費者視点でのマーケティング活動が必要です。
レビューは消費者のリアルな感想や意見が集まるため、「実はだいじ」が含まれている可能性があります。
ECサイトにレビューを活用することにより、消費者の「実はだいじ」を企業側が汲み取るきっかけに繋がったり、時には消費者が自分の「実はだいじ」に気付き、それをシェアしたりできる場となるかもしれません。
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